千佳は手を大きく広げ、泡に塗れた身体で紅葉に抱き付いてきた。
「うふふ……、やあっと言ってくれたぁ。うれしいーなー。好きぃ。紅葉ちゃん、大好きぃ」
千佳の豊かな乳房が押し付けられ、紅葉の胸と合わさってつぶれている。その感触が心地良い。
「千佳……」
「紅葉ちゃん……」
お互いの両手を握り、一瞬離れた二人は、そのまま唇を重ね合わせた。さっきのような軽いキスではなく、舌先を絡めるディープキスだ。
「ん……は……」
「は……」
舌を舐め合い、お互いの口の中に挿し込み、ネットリとした濃厚な口付けを交わす。二人の間に、光る唾液が糸のように引かれた。
「ぷは……。なんか……、紅葉ちゃん……、キスってすごいね……。ううん。すごいのは、紅葉ちゃんとするから、なのかな……。初めてだから、よく分かんないけど……」
紅葉は思わず、千佳とのキスに夢中になってしまった。
千佳は初めてのキスと言っていたが、紅葉はこれがファーストキスというわけではない。これまでに何人かの男と付き合ったことはあるし、それに処女というわけでもない。
だが、男とのキスと比べて、千佳とのキスは不思議に甘く感じられた。砂糖のような甘みとは違う、身体が蕩けるような感覚。喉の奥から溢れる快感を食べるように、紅葉は、両想いになったばかりの幼馴染みの唇を貪ったのだ。
「あ、ご、ごめん、いきなりがっついたりして……。いやだった? こんなキス……」
「ううん、そぉんなことないよぉ。紅葉ちゃんとのオトナのキス、とっても気持ち良い」
「そっか……」
何か、自分のエロさを褒められたようで、なんとなく紅葉は照れくさくなってしまった。
「くちゅんっ!」
と、千佳が可愛らしいくしゃみをした。
よくよく考えればここは浴室で、二人は裸のままシャワーも浴びずに乳繰り合っていたのだ。身体が冷えてしまったようだ。
「ぶっははっ! お風呂、入ろっか」
「うん!」
シャワーで泡を洗い流した二人は、すでにお湯が満たされた浴槽に足を入れた。紅葉が先に入り、千佳の手を取る。
「きゃっふぅ」
「こ、こら!」
甘えるような仕草で千佳は紅葉にしなだれかかる。お湯が溢れ、二人の身体が重なった。
「千佳って、こんなに甘えんぼさんだったっけ?」
「いーでしょぉ? 恋人なんだからぁ」
「……」
「えー、なんでそこで黙るのぉ?」
「ああ、いや、私らって恋人ってことになるのかな?」
「恋人でしょぉ? 好き同士なんだからぁ」
「そっか。そうだよね」
「そーだよぉ」
再び千佳が抱きついてきた。ボリュームのある千佳の胸が紅葉の胸に押し付けられる。そして再び、千佳はキスを求めてきた。
「ひゃん!」
紅葉にしなだれかかり、唇を貪る千佳は、湯船の中で想い人の秘所に触れてきた。思わず、紅葉の身体がビクリと反応してしまう。
「……ダメ?」
「や……、駄目じゃ、ないけど……。いきなりでビックリしちゃって……。それにその……、千佳がこういうことするのって……。あー、こういうことするような娘とは、思わなかったし……」
「いっぱい勉強したもん。大丈夫だよぉ」
「べ、勉強って……」
「紅葉ちゃんみたいにぃ、男の人としたことは無いけどねぇ」
「……女の子とはあるの?」
「ふえ……? ああ、ないない! 初めてだよぉ。もー、ひどいなー。アタシは紅葉ちゃん一筋なんだからぁ。だから、女の子を気持ちよくさせるのは、アタシに任せてねー。ネットとかでいっぱい調べて耳年増になったからぁ、大丈夫だよぅ」
「ぷっ……、耳年増って、使い方、間違ってるよ」
「そーなの?」
「そーだよ。ふふっ、それじゃ、リードしてよ。私のコト、気持ち良くして」
「ふはぁ……、紅葉ちゃん、その言い方ってエッチぃ……」
そう言って、千佳は再び紅葉の秘所に手を挿し入れてきた。
今度は紅葉もそれを受け入れ、心持ち足を開く。
「ん……は……」
千佳の指が下腹部の草むらをかき分け、紅葉の媚肉に触れた。甘く切ない感覚が紅葉の下半身から喉元へ上ってくる。下腹が疼く。キュンキュンする。
「んん……あは……あ……」
「可愛い声。紅葉ちゃんのココ、ヌルヌルするよ。実は結構、エッチなコト、期待してた……?」
「そ、そんな、コト……」
千佳の指が、紅葉の媚肉に沿って上下に動く。その度に淫らな吐息が漏れてくるのを、紅葉は抑えることが出来ない。
「千佳の、触り方……すごく……ヤらしい……」
セックス経験のある紅葉は、当然ながら男に媚肉を触られたことも、舐められたこともある。当たり前だが、男のモノを自分の中に受け入れたこともある。
だが、こんな気持ち良さは初めてだった。オナニーの快感とも違う、身体が浮き上がるような、ふわりとした感覚。天にも昇るような、とはこんな気持ちの事なのだろうか。それをもたらしているのが、自分と同じ身体を持つ幼馴染みというのが、さらに不思議な心地良い感覚を紅葉に与えていた。
「イヤらしいのは紅葉ちゃんだよ。腰を浮かして、もっと触ってって動きしてる」
「う、うそ……っ! ふあうっ!」
浮き上がっていたのは気持ちではなく、実際に自分の身体であった。それを指摘されて、紅葉は顔が一気に熱くなってくる。恥ずかしくなった紅葉は、まともに千佳の顔が見れなくなって目をつむった。
「あ、ああっ!」
同時に、千佳の指が紅葉の身体に入ってきた。ヌルリと。
触り方なのだろうか、動きなのだろうか。それは、男のモノよりも甘く優しく、それでいて強い快感を紅葉の身体に生まれさせていた。下半身と喉元が直接つながり、形を持った快感が口から溢れてくるようだ。
「女の子とエッチなコトをするのは初めてなんでしょ? なのにこんなに濡れて、甘い声を出して。紅葉ちゃんって本当に、イヤらしい……」
「やだぁ……、千佳の、イジワル……」
「おっぱいも触ってないのに、こんなに硬くして……」
「ひゃあああ……」
紅葉の媚肉をまさぐる手とは反対側の手で、千佳は想い人の乳首を摘まみ上げた。心持ち強く、ねじるようにする。
「紅葉ちゃんのおっぱい、とってもいい形……。おっきいだけのアタシとは違うね」
「な、なによそれ……、嫌みぃ……?」
「そんなことないよ。だって、街で見る男の人、みんな紅葉ちゃんのおっぱいを見てたんだよ?」
「うそ……!」
「そりゃそうだよね。紅葉ちゃんって美人なのに、すごく無防備な恰好ばっかりするんだもの」
「だって……私みたいな男女が、おしゃれしたって……」
「だからって、アタシの気持ちも知らずに、夏場にピチピチのシャツばっかり着てるとか」
「へえ……?」
「アタシがどれだけ我慢してたと思ってるの? そんな紅葉ちゃんにイジワルしたくなるの、当然でしょ?」
「ん……んふ……」
千佳はいつの間にか紅葉の腿にまたがるような態勢になり、正面から紅葉の乳房を揉んでいた。摘まみ、絞り、形と硬さを確かめるように、丁寧にこねくり回す。
紅葉の乳首は、千佳の愛撫で硬くなりっぱなしである。
「ずっと、このおっぱいに触りたかった。揉んでみたかった……」
飽きることなる紅葉の乳房を揉んでいた千佳は一度手を離すと、両の乳首を摘まんだ。そしてダイヤルを捻るようにクリクリといじる。
「ひゃ……あああっ」
「先っぽ硬くして……、気持ちいい?」
「そ、そんなこと……」
「正直に言って」
「き、気持ち、良い……」
「はい、正直に言えた紅葉ちゃんに、ご褒美……」
想い人の乳首から指を離した千佳は、恥ずかしげにしている紅葉の顎を摘まみ、唇に吸い付いてきた。同時に、再び千佳の指先が紅葉の媚肉に触れてくる。
「ん……んんーーっ!」
唇を塞がれて、紅葉は喘ぎ声を出すことが出来なかった。
千佳の指先は媚肉に触れるだけでなく、女の中心にある肉芽を摘まみ上げていたのだ。
これまでの愛撫は、ふわりとした優しいものであった。乳首を摘まみ上げたのですら、少し強いだけで普通の快感である。
だが、女の身体で最も敏感な肉の芽を摘まみ上げられた快感は、貫くような鋭さを持って紅葉の全身を駆け抜けた。
千佳のディープキスから逃れ、紅葉は絶叫のような喘ぎ声を出そうとする。だが、幼馴染みは空いた手で紅葉の後頭部を押さえて離さない。上の口と下の口を同時に犯している幼馴染みから、紅葉は逃れることが出来ない。
「……っ! んんーー…………っ!」
そして、一際強く肉芽を摘まみ上げられた紅葉の身体は、絶頂の愉悦に硬直した。身体を硬く逸らし、腕や足や下腹に力を込めてしまう。
全身を巡る快感にビクビクと身体を震わせていた紅葉は、やがて快感がゆっくりと引くのに合わせて力を抜いた。湯船の中で千佳に抱き付かれたまま、お湯の中に沈みそうに脱力する。
「ぷはぅ……。はあっ、はあっ、はあっ……」
「うふふ。ごちそうさまぁ。紅葉ちゃん、すっごくエッチだったよぉ」
「あんたは……、Sっぽかったよ……。はあ……。一体、何見て勉強したの……?」
「ん……? 色々ぉ」
「はー……。色々ね……」
ほとんどはネットからの知識であろうが、本当に何を見て勉強したのだろうか。耳年増などと言っていたが、どうやら的外れでもなかったようだ。
紅葉は、男とのセックスならナニをどうすればいいのか分かっている。しかし、女同士のセックスなど勝手が分からなかったのは確かである。だから、勉強してきたという千佳に身体を任せてしまったのだが、どうやら幼馴染みの知識はかなり偏っているのかもしれない。
「はー……っ。フツーで良いんだよ、フツーで。こっちおいで」
「んん?」
千佳の腕をつかんだ紅葉は恋人になったばかりの幼馴染みを後ろ向きに抱えると、自分にもたれさせかけた。そして、千佳の背後から手を前に伸ばし、豊満な乳房を鷲掴みにする。
「きゃうんっ!」
「こーやって、イチャイチャするだけでいいんだよ」
「えー、でもぉ……。道具もいっぱい持ってきたんだよぉ?」
「ど、道具っ?!」
ただのオフ会にそんなものを用意するはずはない。だが、紅葉がそれに気付いたのはかなり後になってからである。
その時の紅葉は、嬉しそうに道具を使うことを話す恋人の胸を揉みながら、早まったかなと思うばかりであった。
了
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