ドアの隙間から姉の部屋を除いたら、一糸まとわぬ姉が姿見に自分の姿を映している。
 シミ一つ無い後ろ姿の美しさに、思わず唾を飲み込む妹。
 と、姉は大きく溜息をつくと、自分の胸に手を当てた。
 姉が、妹より控えめな胸にコンプレックスを持っている事を知っている妹は立ち去ろうとした。
「誰っ?」
「ひえっ!」
 驚いた妹は逃げ去ろうとして足を絡ませてしまった。背中からドアにぶつかり、姉の部屋へ仰向けに倒れ込む。
「何やってんの?」
 見上げると、腰に手を当て、呆れたように妹を見下ろす全裸の姉がいた。秘所を隠すこともせず、堂々とした態度だ。
「ちょっと! 隠すぐらいしてよ!」
「なんでよ。ココはアタシの部屋でアンタは妹よ?」
「それは……、そうだけど」
 そうは言われても、目のやり場に困ってしまうのは確かである。
 立ち上がった妹は、姉のスレンダーで均整の取れた肢体を上から下まで一瞥して、恥ずかしそうに目を逸らした。
「……せめて、ささやかな胸くらい隠してよ」
「このぉ! そんなコトを言う胸をコイツか! コイツか!」
 姉にとってはいつものじゃれ合いのつもりなのだろう。妹に襲い掛かると、姉は背後に回って豊かな胸を揉み始めた。
「ふえぁ……」
「んんん? また大きくなった? いくつ?」
「……E」
 姉のこめかみに青筋が浮かび上がった。
「同じモン食べてるはずなのに、なんなのよ、この差は!」
「し、知らないっ! ひあんっ!」
「ちょっと見せなさい!」
 理不尽な怒りに掴まれて部屋着のTシャツ越しに揉まれていた妹の胸は、姉の手であっさりと剥かれた。ブルんと量感のある見事な乳房が、血の繋がった家族の目に晒される。
「……」
「な、なんなのよぉ、お姉ちゃん……」
「気を付けっ!」
「ひゃいっ!」
 ショートパンツのみになった妹は、姉の強い声に素直に従った。教師に怒られた小学生の様に、ピシッとした姿勢で硬直する。
 妹の乳房を真正面から見つめる全裸の姉は、思わずごくりと唾を飲み込んだ。
 大きさもさることながら、形といい、乳輪の色といい、それは見る者に抗いがたい情欲を沸き上がらせる、実にイヤらしい肉の塊であった。
「ちょ……お姉ちゃん?」
「黙れ」
 かたや一糸まとわぬ全裸の姉。
 かたや姉に剥かれて半裸の妹。
 一緒にお風呂に入る事などしょっちゅうなので、姉が妹の身体を見る事など初めてではない。
 だが、姉のこの反応は初めてであった。目付きがおかしい。普通ではない。
 姉のただならぬ雰囲気に呑まれて、妹は豊かな胸を晒したまま身動きが取れなかった。
「ひゃ……あ……」
 時計の秒針がたっぷり一周する時間、妹の乳房をまじまじと見つめていた姉は、おもむろに柔肉を鷲掴みにした。
 鷲掴みと言っても、粘土が指の間から漏れ出すような力強い掴み方ではない。
 ギュ、ではなくキュ、である。
 妹の肉の柔らかさを確かめるような優しい手つきで、姉は乳房を揉み始めた。
「ふ……ううん……」
 姉に言われるまま、気を付けの態勢で直立していた妹は、思わぬ姉の愛撫に膝が崩れ落ちそうになった。
 姉の手が、甘く、切なく、イヤらしく自分の敏感な部分を揉んでいる。
 それは、初めての体験であった。
「お、姉ちゃん……」
 視線の先に、姉の頭がある。
 二人の身長はほぼ同じだ。
 なので、妹の胸を一心不乱に揉んでいる姉の頭は、妹の視線の下にある。
 全裸の姉が、自分の胸を興味深げに揉んでいる。
 その光景に、妹の胸の奥から紅く激しい感情が噴き出した。
 胸の奥から沸き上がった感情に従い、妹は姉の頭を抱きしめる。
「んぶっ!」
 豊満な柔肉の塊に、姉の頭が埋没した。
「く、くるじい……」
 姉の抗議などものともせず、妹は豊かな胸に姉を抱え込んだままベッドに倒れ込んだ。
「ぶはっ! なんだどうした!?」
「それはこっちのセリフだよ。一体どうしたのよ、お姉ちゃん。私のおっぱいを揉んで楽しい?」
「……!」
 姉は顔を一気に赤らめた。
 仰向けになっている妹に対して、姉は妹に全裸でのしかかるような態勢だ。
 マウントを取っているとも言う。
 格闘技であれば有利なはずの態勢で、正気に戻った姉は小悪魔の笑みを浮かべる妹に責められていた。
「私のおっぱい、欲しいの?」
「ち、違……! いや……、うん……」
「そ。……はい、どうぞ」
 そう言って妹は両腕を投げ出し、仰向けのままでも形がほとんど崩れない綺麗な乳房を差し出した。
「あ、いや、そういう意味じゃ……」
 姉としては、単に妹の胸が羨ましいと考えていた。それだけのつもりであった。
 だが……。
「ううん、そういう意味よね。とっても綺麗なんですもの。食べちゃいたい」
「妹のおっぱいを食べちゃいたいなんて、お姉ちゃんってば変態」
 変態。
 淫らな悪戯を仕掛ける表情で『変態』と甘く罵られた姉は、鳥肌が立つようなゾクゾクとした感覚を味わった。
 足のつま先から腿を震わせ、下腹部に溜まった快感を集めて喉元からせり出した愉悦は、姉の口から塊のような甘い吐息となって漏れ出した。
 見る者が見れば、それは濃厚な桃色のナニかとなって姉の口から溢れるのが見えたに違いない。
「なんで、こんなことになっちゃったのかな?」
 心の端っこに残していたわずかな理性が、半裸の妹を淫らに組み敷いている全裸の自分を客観視している。
「さあ? でも、お姉ちゃんの身体が綺麗だなって思ったからかも。だから、いいよ……」
 何がいいのか、改めて聞く必要もない。
 最愛の妹に覆いかぶさった姉は、目を瞑って待ち構える妹の唇に、自分のそれを重ね合わせた。
「ん……む……」
 そのキスは、血の繋がった家族の親愛の情を超えた濃厚なものであった。
 お互いに舌を差し出し、絡め合い、吸い合う。
 舌先が歯をなぞり、口蓋を責め、喉奥を犯すように挿し込まれる。
 吸い込んだ舌を甘噛みし、唾液を混ぜ合わせ、甘く濃厚になった粘つく液体を飲み下す。
「ぶは……、はあ……、はあっ…………ふ」
 甘く濃厚な口付けを交わした姉妹は、いったん唇を離すと、驚きの表情を湛えてお互いを見つめ合った。
「な、なに……、これ……」
「なんなん……だろ、お姉ちゃん……」
 喉の奥から沸き上がる初めての快感に、姉も妹も恍惚とした目付きで視線を交わし合った。
「キスが……こんなに気持ち良いなんて……、初めて」
「私は……、これがファーストキスだよ、お姉ちゃん。だから、知らなかった……。キスって、こんなに凄いんだ……、はあ、ふ……」
 ファーストキス。
 初めての口付け。
 女の子にとって、それは特別な意味を持つ。
 それまで守ってきた純潔の一つを相手に捧げる。それは、魂を捧げるに等しい行為である。
 そして今、妹は身体を既に捧げている。愛しい姉に、身も心も捧げているのだ。
「お姉ちゃん……、私……お姉ちゃんが、好き……かもしれない」
「ふ……、くっくっく……」
「な、なによう。笑うなんて感じ悪い」
「ゴメンゴメン。でも、あんなキスをしておいて、今さら『かもしれない』なんて」
「ぶー。お姉ちゃんはどうなのよ?」
「好きよ! 大好き!」
「……! わ、私も好きだよ! お姉ちゃん!」
 再び唇を合わせた二人は、お互いの身体をきつく抱き締め合った。姉のささやかな胸と妹の豊満な乳房が合わさり、乳首同士がこすれ合う。
「んん……!」
 しかしそれは、些細な快感であった。
 今二人は、血の繋がった家族にして同じ身体を持つ二人は、魂が震えあがるような最高のキスを交わしていた。
 ここで終われば、もしかしたら二人の関係は、天使が祝福するようなプラトニックな姉妹愛となったのかもしれない。しかし、互いに相手を愛し合う美しい姉妹は、共に淫らな姿をしていた。だから、ここで終わるなどありえない話であった
「ひゃうっ!」
「お姉ちゃん、可愛い声」
 先に手を出していたのは姉の方である。妹の乳房を、興味と嫉妬を込めて姉は揉みしだいたのだ。
 それに対する反撃という訳では無いのであろうが、妹は剥き出しの姉の秘所に指を挿し込んできた。
「は……あ……」
 妹の両肩を掴み、姉は切なげな声を漏らす。
「う、わ……。お姉ちゃんって、すっごく濡れやすいんだ」
「やだ……、恥ずかしい……」
 態勢は相変わらず、全裸の姉が半裸の妹を組み敷いているのだが、されるがままになっているのは姉の方であった。
 媚肉を割り開き、妹は蜜壺に指先を挿し込もうとした。しかし、どうやら姉の秘所は、既に相手を迎え入れる準備が出来上がっていたようである。
 妹は頭をもたげて、自分に覆いかぶさる姉の耳元に囁いた。
「こんなに濡らしてるなんて、お姉ちゃんの、エッチ」
「……!」
 姉が顔を赤らめてひるんだ瞬間を狙って、妹は姉の身体を突き飛ばした。
「きゃう」
 そして態勢を入れ替え、姉の前に仁王立ちになる。
「ふふ……はは……、ホントに、ドキドキするね」
 淫らな微笑みを浮かべて自分を見つめる姉を見下ろしながら、妹は自分の身体に残ったショートパンツを下着ごと脱ぎ捨てた。姉より豊かなEカップの乳房。ほっそりとした腰回り。そしてまるで生えていない無毛の秘所。幼い顔も含めてアンバランスでありながら、全体で見ると妹の身体は他人の情欲を催させるに十分な身体を備えていた。
 そして、この身体は今、姉のモノである。
 姉の前で仁王立ちになった妹の意図を悟った姉は、膝立ちで妹ににじり寄った。そして両手で妹の腰を掴み、ツルリとした綺麗な媚肉に舌を這わせ始める。
「ふ……んあ……あ……。良い……。自分でするより、とっても良い……」
 見下ろすと、姉の頭が自分の大事な場所を舐めている。
 さっきまで想像すらしていなかった光景に、妹の心はさらに昂った。
「ひ……あ……、ちょ、ちょっと……強い……かな……。あ……お、お姉ちゃん! 待って待って!」
 初めは探るように妹の媚肉を舐め回していた姉であったが、妹の蜜壺から淫汁が漏れ出してくると、わざと音を立てて吸い始めた。ジュるるジュルじゅると、姉が妹の蜜壺から溢れる愛液を飲むような勢いで吸い付く。
「ちょ……だ……んん、く、あああっ!」
 姉に腰を掴まれたまま、妹は身体を弓なりに仰け反らせた。姉の舌と唇がもたらした快感を、全身を震わせて味わう。
「ふあ……、はあ……、ん、んん……。ちょ、ごめん、お姉、ちゃん……」
 仁王立ちで姉の口舌奉仕を受けていた妹は、絶頂の快感を味わって力なくベッドに崩れ落ちた。
「ふふん、お姉ちゃんに奉仕を強要しようなんて、あ、まーい♪」
「ズルいよ……、お姉ちゃんの方がいろいろ経験してるんだからぁ……」
「だから、最初にイカせてあげたんじゃない。どう? お姉ちゃんの舌と唇。今まで色んな娘を楽しませてきたんだから」
 それを聞いた瞬間、妹は姉の乳首を摘み上げた。
「えひゃい! 痛た……! なななにすんのよ!」
「別に……」
「んん? ははん、嫉妬しちゃった?」
「そんなんじゃない!」
「じゃあ、何?」
「それは……」
 顔を赤くして目を逸らした妹を、姉は優しく抱き締めた。
「可愛いわね! あなたってば!」
「むぎゅ」
「今度は、二人で一緒に気持ち良くなりましょ?」
「ふえ?」
 そう言って半身を起こした姉は、妹の片足を抱え込んだ。そして淫汁溢れる自分の媚肉と、愛液の滴る妹の秘所を重ね合わせた。いわゆる「秘貝合わせ」の態勢である。
「スゴイ……、エロいかっこ……」
「そうよね。やっぱりエロイわよね、これ」
 言いつつ、姉は妹の媚肉に自分のそれを擦り付けた。
「んん……」
 素面であればローションなどの助けが必要な体位であるが、血の繋がった実の姉妹同士の百合セックスに、二人はとても興奮していた。共に蜜壺から淫らな涎を垂れ流しているので、ローションなど無くても貝を重ねる行為に支障は無かったのである。
 二人の脚の間から、ニチャヌチャと卑猥な音が聞こえてきた。お互いに愛液を溢れさせ、甘い吐息を漏らし、視線を絡ませて淫らな行為に耽る。
 そして血の繋がった実の姉妹であるという意識が、この淫らな遊戯にさらなる背徳的な快感を加えていた。
「んっ、……んっ! ……んっんっんふっ……! ふ、あふ……」
「お、姉、ちゃん。気持ち良い、気持ち良いよ! ふあん! もっと強く! 擦って!」
 松葉崩しの態勢で姉に犯されている妹は、たまらずに自分の乳房を揉み始めた。乳首をつねり、乳房を揉み上げ、姉との媚肉同士の擦り合いにさらなる快感を加えようとする。
 姉は姉で、抱え込んだ妹の脚に自分のささやかな胸を押し付けていた。興奮に立ち上がりっぱなしの乳首を、妹のすねに擦りつける。
「ふあふ! スゴイ! すごいよお姉ちゃん! 私……、もう……すぐ……。んんんっ」
「いいよ! イこう! 一緒にイこう! イッちゃおう! だから!」
 二人の動きがさらに激しさを増した。お互いに媚肉を突き出し、擦り付け、女の中心から生まれる快感を味わいつくそうと身体を震わせる。
 やがて二人の激しい動きが頂点に達すると、鬨の声を上げて二人は固まった。
「ん……あああっ! ああっ! ああああああっ!」
「ふむ……ん、んんんんんんっ! ……! ……!」
 声を上げて絶頂の快楽を貪る妹。
 嬌声を内側に貯め込んで快楽を味わう姉。
 共に対照的な絶頂を迎え、味わい、貪り尽くすと、二人の美しい姉妹は脱力して倒れた。
 松葉崩しの崩れたまま、姉も妹も力なくベッドに身体を投げ出して、快感の余韻を楽しむ。
 しばらくの間、姉の部屋には、ほんのりと甘みを残した二人の喘ぎ声が漂っていた。
 それを見ているのは、最初に姉の裸体を映し出していた姿見だけであった。

   了